【保育士解説】保育園の洗礼とは?病児の預け先・職場で使える休暇について解説

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まるり先生

元保育士のマルチクリエイターまるり先生です。SEOライターを中心に、デザイン・イラストなどのお仕事もしています。自身のノウハウや実体験をもとに、役立つ情報を発信中♪

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保育士・幼稚園教諭
マインドフルネス講師
瞑想インストラクター
社会福祉主事など

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子育てのあれこれ

もうすぐお子さんが保育園や幼稚園に入園するという保護者の方もいるでしょう。お子さんを保育園に預けられるとホッとする一方で、ちょっとした罪悪感や寂しさを感じますよね。

まるり先生
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私も子どもを保育園に預けるんだけど……同じ気持ちです。

特に、育休復帰をするママさんは、

あなた
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久しぶりにちゃんと仕事ができるのかな……

職場の人がどう自分を迎え入れてくれるのかな。

など、不安に思うことも多いでしょう。

そこで1つ、お子さんが入園するにあたって、事前に知っておいてほしいことがあります。
それが「保育園の洗礼」です。保育園の洗礼とは、入園後に感染症に繰り返しかかることを指します。

全体のクラスの中でも、特に免疫力の弱い0歳児クラスは、「保育園の洗礼」で、最初のうちは何度も呼び出しを受ける可能性が高いです。

実際に、※1の研究では、0歳児の病欠日数が最も多いとされています。育休復帰をする前に、少しでも対策できるように、「保育園の洗礼」の対策をご紹介します。

この記事を読むと分かること

▶️保育園の洗礼とはなにか
▶️子どもが病気が続いたときの預け先や休暇について
まるり先生
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最後までしっかり読んで、「保育園の洗礼」への対策と心構えをしておきましょう!

※1 野原 理子・冨澤 康子・齋藤加代子「保育園児の病欠頻度に関する研究」, 平成27年, p149

保育園の洗礼とは

保育園の洗礼とは、ずばり、入園後短期間に子どもが感染症を繰り返すことです。特に、入園して間もない「慣らし保育中」になることが多いと言われています。

今まで家庭で過ごしていた子どもが、保育園でさまざまな菌やウイルスと出会うことで、発熱・鼻水・咳・下痢など、ざまざまな症状の感染症にかかるのが保育園の洗礼です。

中には、全くかからなかったという話しも聞きましたが、高確率でほとんどのお子さんが保育園の洗礼を受けることになります。

実際、私が受け持っていた0歳児クラスでは、5人全員がいつも何かしらの感染症にかかっており、入園後半年ほどは、全員揃う日はほとんどありませんでした。

保育園の洗礼はいつまで続く?

保育園の洗礼はいつまで続くのか気になるところだと思います。明確な根拠は見つけられませんでしたが、まるり先生の経験上は、半年ぐらいで落ち着いてくる印象です。

ただし、保育園の洗礼が終わったとしても、※1の研究によると、7月と12月には感染症が増加することや、年間を通して0歳児の病欠日数が最も多いことが示されています。つまり、保育園の洗礼が終わっても0歳児のうちは感染症にかかる確率は高いというわけです。

※1 野原 理子・冨澤 康子・齋藤加代子「保育園児の病欠頻度に関する研究」, 平成27年, p149

保育園時代にたくさん風邪をひくと、小学生になったらひきづらくなる?

保育園での感染症に不安を覚える方もいるかもしれません。しかし、「保育園時代にたくさん風邪をひくと、小学生になったらひきづらくなる」という嬉しいニュースもあります!

あるアメリカの調査(※2)では、大規模保育園に通っていた子どもたちは自宅保育の子どもたちと比較して、2年目に頻繁に風邪をひきましたが、6年目になると風邪をひく頻度が減ったという結果が示されています。

この結果からは、保育園時代に風邪をひいて免疫を獲得することで、小学生ごとになると風邪への耐性が高くなることが分かります。

とは言っても、病気ばかりで保育園に通えなかったら、仕事を続けられないかもしれない……と不安に思うのは当然のことです。その不安を完全に払拭することは難しいですが、最低限、子どもの病気が続いたときの預け先や休暇について知っておく必要はあります。

以下でご紹介します。

※2 Influence of Attendance at Day Care on the Common Cold From Birth Through 13 Years of Age, 2002

子どもの病気が続いたときの預け先や休暇について知っておこう

子どもの病気が続いたときの預け先や休暇について知っておこう

子どもの病気が続いたときの預け先や休暇についてご存知ですか?

基本は、両親が休んで対応することが多いかと思いますが、どうしても両親どちらも休めなかったり、親族の協力も得られなかったりする場合もありますよね。

そんなときに利用できる病気の子どもの預け先は、主に以下の3つです。

  1. 病児・病後児保育
  2. 病児対応可能なベビーシッター
  3. ファミリー・サポート・センター
まるり先生
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どのサービスも、実際に使わなかったとしても、いざというときに利用できるように、事前登録は済ませておくのがベター登録に時間を要するサービスもあるので、その点は注意してくださいね。

それぞれのサービスについて、以下で詳しく解説します。

病児保育

病児保育事業は、厚生労働省の資料(※3)によると、以下のように定義されています。

子どもが病気の際に自宅での保育が困難な場合に、病院・保育所等において、病気の児童を一時的に保育することで、安心して子育てができる環境整備を図る。

病児保育事業(厚生労働省)p23

病児保育事業の種類は、以下3つです。

  1. 病児対応型・病後児対応型
  2. 体調不良児対応型
  3. 非施設型(訪問型)

ここでは、3つのなかでも最もスタンダードな「病児対応型・病後児対応型」について解説します。

病児対応型・病後児対応型とは

地域の病院や保育所施設などに設置されている専用のスペースで、看護師などが一時的に病気の子どもを保育する病児保育事業。

【主な対象児童】
急変する可能性は低い
病気が回復しておらず集団保育が難しい
保護者の仕事の都合で家庭で保育するのが難しい
市町村が必要と認めた10歳未満の子ども
※上記全てを満たしているもの
※自治体・施設によって条件が変わる

利用できる病児・病後児保育施設は、住んでいる自治体によって変わります。上記対象児童の条件も施設によってさまざまなので、事前に確認しておきましょう。利用できる施設は、住んでいる自治体のホームページや子育ての担当窓口などで確認できます。

利用の仕方もさまざまですが、基本的には、指定の医療機関で受診後、必要書類を揃えて申し込む必要があります。

事前登録が必要な施設も多いため、利用する可能性がある場合は、住んでいる自治体の病児保育施設を探して、入園前に登録を済ませておきましょう!

病児対応可能なベビーシッター

対応可能な地域や病状であれば、ベビーシッターも利用できます。

KIDNAシッターやキッズラインなどの各種ベビーシッターサービスから予約可能です。ただし、事前にシッターさんとの面談が必要な場合もあるため、急遽利用したいときに備えて、事前に確認しておきましょう。

また、病児保育やファミリーサポートに比べると、かなり料金が割高です。

とは言っても、料金が高いぶん、1対1で手厚く関わってもらえるのが、ベビーシッターのいいところ。自宅で見てもらえるのも安心できるポイントです。さらに、保育のプロが見てくれるので、安全面も弱っている子どもの精神面のフォローも安心して任せられるでしょう。

ファミリー・サポート・センター

ファミリー・サポートは、地域の中で「サポートをする人」が「サポートを受けたい人」に、子どもの送迎・預かりなどの援助を行う有償ボランティアです。

基本的に1時間1,000円前後で利用できますが、保育のプロではない方も多いため、安全面や知識面では若干不安があります。また、事前の説明会への参加・顔合わせなど、利用するまでに時間を要することもあるため、利用を検討している場合は、早めの行動が必要です。

病児保育の実施の有無は自治体によって違うので、事前に担当窓口へ確認しましょう。

看護休暇を取得する

「子の看護休暇」は、子ども(6歳未満)の発熱・怪我により、看病が必要になった場合に取れる「法定休暇」です。病気になったときだけではなく、健康診断・予防接種のために取得することも認められています。

【子の看護休暇とは】
有給休暇とは別に取得できる
6歳未満の子ども1人につき、年間「5日」取得できる
当日の申し出も可能
会社で前例がない場合も申し出可能
半日単位でも取得できる
雇用形態に関わらず申し出可能

ただし、以下のように「子の看護休暇」の申し出に対して、会社側が拒否できるケースもあるので注意しましょう。また、賃金の発生の有無は会社が自由に決められるので、無給となる場合もあります。

【申し出が拒否される場合もある】
入社6ヶ月未満の場合
1週間の労働日数が2日以下の場合など

【有給か無休暇は会社によって異なる】
令和3年度は65.1%の事業所が「無給」と回答

参考:厚生労働省「介護休暇・子の看護休暇の時間単位取得について」(令和2年)
厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」(令和3年)

保育園の洗礼の対策方法を知って、慣らし保育に備えよう!

子どもの病気が続いたときの預け先や休暇についてご紹介しました。これから新しい環境に飛び込んでいく私たち。不安ばかり……というママさんも多いと思います。

保育園の洗礼について、事前に職場に話しておくのも良いかもしれませんね。職場によっては冷たい態度をとってくる人もいるかもしれませんが、気にする必要はありません。

働きながら子どもを育てる権利は、誰にでもあります。病気にかかってしまう子どもも、親のあなたも悪くありません。冷たい態度をとる職場の価値観が間違っているのです。

昔に比べたら働きやすくなったのかもしれません。しかし、家庭や子どもを大事にしたいという想いを理解してくれない職場も、少なからずあります。実際に、私の夫の職場もそうです。育児休暇も取れず、残業ばかりの毎日を過ごしています。もっと働く親に優しい世の中になって欲しいと願うばかりです。

肩身の狭い思いをするママやパパが少しでも減るように、子どものことを目一杯愛せるように。微力ながら、これからも発信を続けていきたいです。

まるり先生
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